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安定供給と有効活用。「ガス」の使命が、新たな挑戦を成功に導いた。 差圧発電プロジェクト

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火力発電に比べ、CO2排出量が極めて少ない「ガス圧力差発電システム」。ガス供給ラインに設置する事例としては東日本では初、全国でも4事例しかないこの発電システムの導入に挑んだのが「差圧発電プロジェクト」チームだ。そのチャレンジの過程には、様々な紆余曲折があった。

環境のために、ガス会社ができることは何だろう?

2005年、営業からエネルギー開発部に異動したばかりの櫻井直樹は、あるミッションを担った。

「環境に配慮した取り組みを考えるという、会社の事業戦略に直結する重要なミッションでした。長年、携わってきた営業のことならまだしも、企画に関しては何の経験もないわけですから、どうしたものかと戸惑いました」と当時を振り返る櫻井。
だが、様々な資料を集め上司とディスカッションを重ねるなかで、「差圧発電こそ、ミッションを達成するのに最適ではないか」と、目指す方向が定まっていく。

「都市ガスは人の血液の流れに似ています。ガスは、製造所から導管を通って流れるのですが、導管は毛細血管のように枝分かれし、お客様のところへと届くからです。
しかしガスならではの特色があり、それは流れる過程で高圧→中圧→低圧と段階的に減圧されていくところです。その減圧されるときのエネルギーを活用したシステムが差圧発電なんですよ」

発電システムフロー図
画像 / 櫻井直樹さん

CO2排出量の削減に貢献できるシステムでありながら、関西では4事例のみ、関東では実績が皆無。その背景には、費用対効果の問題があった。高額なコストの割りに、費用対効果が薄いのだ。

しかし、櫻井は「今ならできる」と意を決する。
「電力自由化により、発電した電気の売却益を得る可能性が出てきた。さらに、環境問題が盛んに叫ばれるなか、環境省の補助金制度を受けやすい状況にある。チャレンジするにはまたとないチャンスだと思ったのです」

とはいえ、自らつかみにいかなければ、チャンスを活かすことはできない。
櫻井たち企画のメンバーは、さっそく大阪ガスを訪問。導入している施設のレクチャーを幾度となく受ける一方で電力の購入先を探し、導入にあたっての成功の青写真を描いていった。
試行錯誤の末、ようやく補助金の申請が通ったのは、翌年のこと。

「でも、それはスタートラインに立ったのに過ぎません。設備を作って稼動させるのは、ここからなのです」


櫻井たちを“企画部隊”と称すならば、泉澤博信をはじめとする導管部のメンバーは“実行部隊”。櫻井から差圧発電プロジェクトの話を具体的に聞いた直後、泉澤の口から思わずもれたのは「安定性はどうなんだ?」という不安だった。

「私たち現場を預かる者たちは、お客さまにガスを安定供給するというガス会社の使命をリアルに感じています。万に一つでも供給できない可能性があれば、それを解決しないと先に進めない。それが私たちのミッションだと、誰に言われるともなく、全員が心に刻んで仕事に臨んでいるんです」と泉澤。

彼の不安は、ガスの使用量の変動に対し、発電システムがどのように稼動し、ガスの安定供給ができるのかということにあったという。「ガスの使用が多い冬は発電量が増えるけれど、ガスの使用が少ない夏は発電量が減る。その他、時間帯によっても違いがある。企画側は、常にガスをたくさん流して発電力を高めたいのですが、そうすればガス導管網の圧力バランスなど、安定供給に支障が出る恐れがあるわけです」

もちろん泉澤も、CO2の削減の必要性を重要視していた。「やらねばならぬ」と腹をくくりながらも、安定供給を大前提に考えると、稼動するにあたっての懸念箇所がいくつも出てきた。「企画と意見を戦わせたり、数々の文献を読んだりして、懸念箇所を一つずつ確実につぶしていきました。」

画像 / 泉澤博信さん

櫻井もまた、安定供給ができなかったら、発電不足で電力が売れなかったら…。
そんな問題意識を持ちながら、電気事業者との交渉を続けていた。
「気がつけば、会社の途中にある神社で上司とお参りするのが日課になっていました(笑)」

そして2008年秋。待ちに待った発電機の試運転の日を迎えた。
「発電機が発する高周波音が聞こえてきたら、隣にいた櫻井が『なんか、泣けてくるよな』って、ぼそっと言ったんですよ。それを聞いたとき、報われた達成感がこみあげてきました」


ガスを、安定的に供給し、有効に活用する。
同じ志が関わった全員にあったから、ここにたどりつくことができたのだと、櫻井も泉澤も感じていた。順調にスタートした今、二人は同じ思いを口にした。
「ガスの安定供給という大きな役割を保ちながら、環境と調和する組織へと変化していく。そのリーダーシップを担うのは、私たちと、次を担う若い世代だと期待しています」

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